とにかく考えた、事・方法論を書くことにした。

最近は雑記ばかり。サーフィンと読んだ本に関して考えた事などを書いていきます。

夜のヤッターマンを鑑賞して。中だるみしない物語作りとは何か?

『夜のヤッターマン』このタイトルからどこか文学的な香りがしたので、気になっていた作品でした。涼宮ハルヒのいない教室?、シャーロックホームズは死に絶えた?とか、有名作をもじったタイトルって、批判的とか斜に構えている感じがして、世間に言いたい事をぶつける文学?高尚っぽさを感じて気になってしまうんですよね。まぁ、本作は普通にヤッターマンシリーズのパラレル・スピンオフ的な位置づけの新作というだけで、文学っぽさは皆無でした。



さて、今回はこのアニメを見ていて、”中だるみ”を感じました。(くしくも、他の人の感想も見て回った結果、同様の感想が多々ありました。)というわけで、物語が”中だるみ”しないために、中だるみが何故起こるのか?とか、そういう物語論を考えてみようと思います。
ヤッターマンシリーズは詳しくないです。主人公と毎回おばかなメカがでてきて、わちゃわちゃするぐらいの知識しかないです。




◆そもそも中だるみとは何か?何故生じるのか?

中だるみとは、導入(主人公の行動開始)から結末(目的の達成)に到達するまでのストーリー展開において、鑑賞していて飽きてくる事。つまらなさを感じる事だと思う。なお、導入と結末がよければよいほど、その間の繋ぎ方は問題視されるだろう。



そこそこ大人になってから、日曜の戦隊モノとか、プリキュアシリーズ、セーラームーンとかを真面目に見た事がある方なら、中だるみとは何か?ときかかればすぐ応えられると思うが、以下の4通りだろう。まぁ漫画でも最初は面白いと思ったけど、最近つまらねーってやつ、もういいや完結してから読もうと思ったりするのは、大体この中だるみが原因。



1、目標に一切近づいていない。
2、目標に近づいているかもしれないが、その1つ1つがワンパターン、代わり映えしない。
3、目標に近づいているのかもしれないが、非常に遅い。遠回り過ぎる(このペースでいつ終わるんだよと思う)。
4、目標に近づいているのかもしれないが、主人公が今していることと目標とが繋がっていないように読者には見えてしまう。”今””何のために”どうしているのかよくわからない。



1はすぐに例はでてこないが、まぁ本題から迷走しはじめる作品。2は、バトル物でありがち。全国1位とか、最強を目指す中でいろいろなライバルが出てくるものの、新技や特訓したから勝てたという展開が毎回続くと、次の敵もどうせとオチが読めて飽きてくる。3は、ワンピースとか。4は、主人公の目的に向かう速度の失速や、一見主人公の行動指針とかみあっていないようにみえてしまう寄り道。




◆中だるみしない為には?

導入から結末まで、主人公を全力で動かし、常に目標に確実に近づいているようにすることが、中だるみしない一番素直な答えである。しかし、それが最善の答えではない。主人公にばかり着目して、主人公の動きだけおうとすると、それはシンプルすぎる展開になってしまうと思うからである。主人公がどうした、ああしただけでは、ずっと同じ料理では飽きる心理と同じような気持ちが芽生えるだろう。



中だるみしないために!!原因を除去するという考えだけでなく、中盤での飽きられない工夫、平板(ワンパターン)な展開にしない工夫を盛り込むという発想で、主人公のサブ目的(2つめの目的や動機)に迫っていく展開といった、本筋から外すテクニックや、主人公周囲の人物の目的や動きを取り上げて、真新しさを出す方法もあるだろう。シンプルではない解決策についても検討してみる。




◆中盤のアクセントや真新しさ、主人公の動きから視線を外すということについて

とりあえず色んな作品のテクを思い返し、帰納法的に考えてみる。


・○○編というような、大目的とも関連している中目的を設定し、いくつかのまとまりで山場をつくっていく。(ハンターハンター


・いっそ、一話完結にする。数話完結をやり続ける(どらえもん、ブラックジャック等)


・恋愛&一位(優勝)する。または、店(仕事)を成功させるといった2つの目的を主人公に持たせて、交互に関連しながら進展させる。


・主人公の目的や葛藤と関連していて、別の選択を迫られ考える人物(サブキャラ)を登場させて、彼の紆余曲折を挿入することで、主人公や読者に、テーマや主人公の行動に別視点の疑問を持たせ、考えさせる集中させる。


・上記と似ているが、周りからの一歩引いた視点をはさみ、主人公を眺めた周囲の感想や指摘を挟むことで、冷静に?一度引いて主人公の行動や思考を捉えなおさせる。


ダブルヒロイン、ダブル主人公、3人主人公といった、目的を持った主役クラスを数人確保する。(キャラ作りの段階で、全キャラの深堀をして目的を持たせる事になるとは思うが、メインを数名おくという視点で、展開させる。三角関係をそれぞれの視点から描くとか。)


・謎が謎を呼ぶ展開にし、最後まで答えを明かさない。考察や予想でわいわい楽しませる。(20世紀少年とか)


・敵や仲間を世代交代させる。師匠と弟子、あるいはその子供、主要メンバーの死など。あるいは少年期から数年後へと成長させる。(デスノート等)



◆上であげた例をまとめてみる。

1、目標が1つだとシンプルすぎるため、目的の数を増やす。
・ある程度関連して展開できる2つ以上の目的を、”主人公に”もたせる。
・主人公単体だけでなく、主人公の動きと関連するサブキャラの目的も進展させる。


というわけで、目的を増やす為に目的の数を増やすか、目的を持ち進展させる主体(キャラ)を増やす。単純に数を増やす。



2、目的を変化させる。目的が徐々に変わっていく。明確になっていく。(主人公の成長)
・主人公の目的を失敗・不達成にして、結末予想へ変化をつけたり、負ける事もあると思わせる。
・主目的と関連する寄り道(○○編)を通じて、主人公の曖昧な目的が具体化・明確化する。
・主人公の考え方と少しずれた別キャラからの視点、ライバルや敵の視点を入れて、主人公の考え方に一石を投じる。
・主人公や敵の目的を誰かに引き継がせる。年を経て成長して、より大きな目的に変わる。


というわけで、ある目的に向かっているように見えて、主人公や目的の質的変化を起こす事で、道のりを曲げて、変化を起こす。あるいはより尖った先を目指すようにする。主人公の成長や変化と密接に関連。



3、目的を伏せる。結末(ゴール)を最後までベールに包む。
・ミステリやサスペンスがまさにそれ。首謀者や犯人は誰か?どういう目的で犯人は?どうやって犯人は?この事件は何故おきたのか?と最後まで伏線をちりばめていき隠す。あるいは、主人公の安否がコロコロ変わったり、ゴール(結末)そのものを不確定であるように話を進める。


というわけで、中だるみ=目標や結末オチがなんとなくみえているのに、みえみえのそこをひっぱられることといいかえられるので、結末がどうなるかわからない、と主人公の行動の結果や足場を不安定なものとしておくか、結末そのものを”全く”予想できないようにひたすら隠す。



4、一話や数話完結にする。
・探偵や医者の物語など、専門職業の主人公が関わった問題を一話や数話完結でまとめていく。キャラクター小説にも通じるテク。


問題逃避?目的があるから、目的への進み方でだれるのだから、大目的そのものを失くすという解決法。コペルニクス的解決?






主人公の目的を決める。主人公が困難にぶつかりつつも、その目的を達成する。この物語の基礎の基礎ともいえる第1原則は、ちょっと考えてすんなり思いつけるようになった。しかし、それだけだとわかりやすすぎるし、面白さの視点でいうとなんか味気ない。そんな風に感じていたので、”物語が目的に向かっていく”面白さとは何か?中盤をどう描けばいいのかを考えてみた。この4パターンを全部同時はもったり意味不明になるだろうが、いくつか混ぜながらも使えるだろう。