とにかく考えた、事・方法論を書くことにした。

最近は雑記ばかり。サーフィンと読んだ本に関して考えた事などを書いていきます。

時間泥棒を読んで  

時間モノ計画着々と進行中。時間泥棒で面白かった点は
1、時間に関する各種専門家の多様なアプローチ(正体が見えないものに対する対処法)
2、各地の時間のずれという設定



時間泥棒 (創元SF文庫)

時間泥棒 (創元SF文庫)



あらすじを簡潔に書くと、
各地で時間のズレが観測される。いったい何が起きているんだ?と調査の開始と対処法の模索が始まる。社会的な影響への描写→主人公がいろいろな人に相談しに行って解決策を模索→解決策発見→実行のながれ。


■各種専門家のアプローチ

『時間を窃盗ですと・・・どこに盗品を探しに行けばいいんですか?どういう種類の窃盗なのでしょうか??』


時間が各地でずれるという現象を見た人から、ズレル→盗まれている→こんなありえない窃盗ができるのはエイリアンではないか!?という噂がでる。この展開が意外に面白い。確かに言われてみれば、原理とか原因を知らない人が見たら不可思議な現象は、通常まったく説明が付かず、なにから考えればいいんだ!?と混乱する。SFやファンタジー漫画なんかを読んでると【超能力】や【マシン】という一言の説明で処理してたけど、改めて何も知らない前提で不可思議な現象に遭遇すると・・?と考えると面白い。


本作だと事件解決のため、通常の窃盗に置き換えて考える。つまり、盗む現場で犯人を待ち伏せて現行犯逮捕すれば万事解決だと考える。じゃあ盗まれる【時間】ってどんなものなんだろう??どこにあるんだ??と考えが進む。こうして過去や現在の哲学者に時間という概念について相談しにいったり、科学者に対して時間の観測や変化に関する見解を求めたり・・・色々な専門家がさまざまな視点で事態を眺める様子が面白かった。
勿論、そこでは疑似科学やちゃんと過去の哲学者の視点も説明される。これを読んで、時間モノを制覇するには、物理とか化学の知識や哲学の再勉強が必要だと感じさせられた。



■各地の時間のズレ

各地で時間がずれるということが、実は世界全体でのズレと各地同士でのズレの2段階のズレになっている設定。その2段階になる設定によって人々の行動や話の展開に深みが出てると思う。世界全体で時間が奪われているとなると、味方:世界全体で敵:エイリアンという単純な1対1の図式になりかねないから。


なので設定としては非常に面白かったのだが、各地で時間がずれる、あるいは失われるという状態でどんな問題が起きたのか?ということがうまくイメージできなかった。テレビやラジオは電波の関係で動かなくなる。建物が崩壊する。などの1次的なものは理解できたけど、こわれてどうなったの?? 1部の機械が動かなくなって人間はどうしたの?? そもそも人間の体にはどんな影響が?? 時間のずれる境界線ってどんな感じになってるの??とか。もっとこのあたりは話を膨らませてほしかった。