とにかく考えた、事・方法論を書くことにした。

最近は雑記ばかり。サーフィンと読んだ本に関して考えた事などを書いていきます。

月見月理解の探偵殺人2 ノアズアークのルール解説と攻略法。

月見月理解の探偵殺人の第2巻の内容は、≪ノアズ・アーク≫というシェルター内で繰り広げられる脱出ゲームがメインである。よくある展開ではあるが、シェルターに迷いこんだ8人の中に、正体を隠した犯人も紛れていて、犯人によって仕組まれたルールに従いながら閉じ込められたシェルターからの脱出を試みるのである。脱出ゲームという言葉にまだピンと来ない方向けに例を挙げると、月刊少年ガンガンの『Doubt』という漫画のようなものである。脱出ゲームと謳うものは多々あるが、(ネットでよくある)壁を調べて手がかりの発見→解読ではなく、本作品は騙し合いや駆け引きによるもの。


月見月理解の探偵殺人 2 (GA文庫)

月見月理解の探偵殺人 2 (GA文庫)



Doubt 1 (ガンガンコミックス)

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さて、そんな月見月理解の2巻に関する今回の記事の主旨は2点ある。
1、≪ノアズ・アーク≫脱出ゲームのルールが、非常にわかりずらいので本作を読もうという人向けに、ルールが一目でわかるよう自分なりに書き直してみる。


2、月見月理解が行った脱出ゲームの攻略法に関しての確認と、状況などを変えつつ今回の脱出ゲームの最適な攻略法は本当はどういうものか?を検討してみる。




■ルールの再構成

以下はあくまで、本編の内容が理解しやすくなるように自分ができるかぎり再構成しなおしたものである。解釈間違いや拡大解釈も過分に含まれる可能性がある。赤字は本文中から解釈して説明に追加した部分。


○脱出ゲームの目的
9時間以内に脱出に必要な7つの鍵を入手し、脱出すること。



○ゲームにおいて使用するモノ
8つの部屋(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、黒)
8つの部屋に対応した8つのカードキー(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、黒)
メインモニター
脱出用の7つの鍵


8つの部屋と各部屋に対応した8つのカードキーには、擬似的に8つの色が割り振られている。しかし、あくまで割り振られているだけで、実際のカードキーや部屋に色はなく、各部屋とそれに対応したカードキーを視認で判別することは不可能である。



○ゲームのルール
1、脱出用の鍵を1つ入手するには、メインモニターに蓄積した4つのカウントの消費と合せて、1枚のカードキーの色+その部屋の色を消費する。消費されたカウントは0に戻り、消費されたカードキーと部屋の色は”黒”になる。4カウント消費しカードキーを通した時に、そのカードキーの色とそれに対応する部屋が判明する。この時、そのカードキーと部屋の色を消費しないことも選択でき、消費しない場合は、脱出用の鍵は入手できないがカウントは0に戻る。なお、カウントは最大で4までしか蓄積できない。
※メインモニターで4カウント消費する操作後は、15分間入室状態を作ることができない。



2、メインモニターへカウントを1つ蓄積するためには、部屋に対応したカードキーを室内で使用し、部屋を入室状態にして30分経過する必要がある。室内に1人と1枚のカードキーがあるときしか入室状態にすることはできず、入室状態時は、部屋への出入りが一切できない。入室状態以外は開放状態と呼び、自由に部屋への出入りが可能である。



3、ジョーカー的な存在として、黒の部屋と黒のカードキーが存在する。黒の部屋は、対応する黒のカードキーを使用し入室状態にすると同時に罠が作動し、入室者の死亡後、カウントは一度に4つ蓄積される。罠が作動した黒の部屋は以後入室することができなくなる。黒のカードキーは、入室状態の他の色の部屋で外から使用することができ、使用した場合、部屋の入室者を罠で即死させることができる。即死後すべての部屋の入室状態が解除される。カウントは4つ蓄積され使用された部屋とカードキーは黒に変わり、使用した黒のカードキーと黒の部屋はその部屋の色に変わる。



4、メインモニターにはカウントが4つ蓄積された状態でゲームを開始する。



5、暴力行為や恐喝行為などでゲームプレイの強制や、カードキーの略奪が行われた場合や時間内に脱出できなかった場合は、致死性のガスによりシェルター内にいる人間は全員死ぬ。




一応、具体的になにを構成し直したかというと、
1、固有名詞の可能な限りの削除と、表現の簡略化
2、小説内では当然のように扱われているが、ルールには明記されていない部分の追記。(赤字部分が該当)

1は、説明を長くしない記号としての”固有名詞”を削った。例えば”入室状態”=1人しか中に居ない状態で、かつ出入りができない状態と作者が定義した固有名詞など。小説本文を簡略化するために仕方ない部分だが、本記事では本文は関係ないし、ゲーム概要の理解だけできれば問題ないので削った。


2は、本文の内容と照らし合わせて、ルール内で明確に表現されていない部分を足したということ。
以下ネタバレ注意







■月見月理解の攻略法の確認(ネタバレ注意)

○目的
ドッペルゲンガーの正体を明かし、捕獲すること

○行動
1、ドッペルゲンガーの能力が入れ替わりか?等の情報を得るために、シェルター内の出入りがわかるような仕掛けをする。(後に、犯人が使用し出入りがあった形跡を発見)


2、今後現場を仕切り、理解に有利な状況を誘導してくれるれーくんが本物か判定。(黒のカードキーを使用しそうにない人物が外に残ることになるため。安全弁が本当に信頼できるか確認。)


3、第一の事件後、乳だけ女がカードのすり替えを行っていないことを理解は確認している以上、奏がドッペルゲンガー本体か、またはその共犯者であると確定


4、外に3人以上残すなどに注意しつつ、入室しても自分が殺害されない状況作りに気を配りつつゲーム進行を見守る。共犯者か本体かどうかの情報を収集していく。


5、イスカの特異能力が発動され、他の人間の情報も集まったところで、イスカの特異能力が本物であり能力で得た情報も本物かどうか(イスカ自体がアトリではないのか)を確定させるために、イスカを判定。


6、消去法で犯人またはその他の共犯者を確定した。



上記行動を俯瞰すると、イスカの能力がなかったら結構危ない状況だったようにも思えるのだが、よくよく振り返ってみると理解はドッペルゲンガーの能力が洗脳であり、自分(理解)を洗脳するために自分は殺害されないこと。また毒ガス装置もおそらくブラフの可能性が高いことが既にわかっていたので、理解事態が殺されることは少ないと踏んでいたと思われる。以上より、理解としては、洗脳されないようにまた突発的な殺害を食らわないように信頼できる誰か(れーくん)と行動を共にし、ある程度人数が少なくなるまで待機して、特殊能力で犯人を断定すればいいと思っていたに違いない。
ここから先は推測も推測だが、事前にある程度の情報を得ていた以上、車椅子に毒ガス対策を仕込んでいたり、外の月見月家の関係者と連絡をとりいつでも助けてもらえるような準備をしていたと思われる。
要は、殺されないことはほぼ分かっていたので、のらりくらりしながら自分の目的を遂行するべく、この中に居るのはドッペルゲンガー本体かどうか?だけ探っていたのだ。ずるいなぁ笑



■最適手の模索

理解の動きとか、ドッペルゲンガーとかは一旦横においといて、純粋にこういうゲームを与えられた場合にはどう動けばいいのかを考えてみる。まずは勝利する状況を整理する。


1、運がいい状況の場合=何事もなく、無事制限時間内に全員脱出
一番最初に黒のカードキーを通せた場合、黒の部屋が確定されるので消去法で安全な他7つの部屋が分かる。色はわからずとも手当たり次第にカードキーを使い、入室状態にできる4つの部屋を発見するという方法。鍵を入手するとともに使用できる部屋は減っていくが、黒化した部屋以外は常に安全。



・開始2時間後、4つの鍵を入手。(30分で4カウントずつ蓄積できるので、4つの鍵を入手するまで(4つの部屋を黒化するまで)は、2時間で4つまで可能。
・開始3時間後、1つの鍵入手。(30分で3カウント、次の30分で1カウント)
・開始4時間後、1つの鍵入手。(30分で2カウント、次の30分で2カウント)
・開始6時間後、最後の鍵入手。(最後の1部屋を30分で1カウントずつ蓄積)
※正確には鍵入手後15分はなにもできなくなるため、7×15=105分(1時間45分)を追加するので、開始7時間45分後に脱出可能。




2、最初に黒を引けなかったとき=1人以上死亡確定。
一番最初に黒以外のカードキーを通した場合、安全を確保するためには黒化させずに色の判別でとめる必要がある。安全が分かった部屋でカウントを蓄積し、2時間後の次の判別でも黒のカードキーでなかったら、黒化させずに安全な部屋を判明させていくという方法。この方法だと、2回目に黒のカードキーが発見されても、間に合わない。



・開始2時間後、黒部屋判明→上記1の方法へ移行したとしても(+7時間45分)開始9時間45分後になるため、脱出失敗。
一番最後に入室する1人を黒のキーで殺せば、最後の1つの部屋で4カウントためる2時間がなくなり、1とほぼ同じ開始7時間45分後に脱出可能。




以上より、ゲームの勝利条件をまずまとめると
黒のカードキーを運よく引き当てて、判明できるかどうかのゲーム 笑 各判別時点で、黒カードキーが判明できなかった場合、死亡確定。1回逃せば1人死ぬ。2回逃せば2人死ぬ。3回逃せば2人死ぬ。





上記勝利条件から、最適戦略をまとめると、
要領が悪そうな奴のカードを最初に判別させる。判別が成功(黒と判別)すれば、正攻法で進行。失敗(黒以外)した場合は、部屋の色をまずは判明させる安全策をとると宣言する。そして具体的な時間の計算まで落とし込む前に、時間がもったいないからゲームを進行させながら考えようととか騙して、カードキーを判別させた最初の1人を部屋に押し込む。
後は、上記ルールと時間のことを説明して全員を共犯にし、全員のカードキーを手当たり次第に入室状態の部屋でためす。罠作動後は、入室していた部屋が入ってはいけない黒の部屋と判明し、仲の奴は黒のカードキーを持っていることになるので、実質1回目の判定でどれが黒かわかったのと同じ状態になるため、正攻法へ移行できる。以上。



戦略成功の鍵は、最適戦略がみんながわかっていない状態であること。かつ、だれか一人を陥れる状況が確定できること。(いきなり入室までできなくても、1人参加者がトイレにいった隙に他の全員を説得するなど)



できれば押さえておきたい戦略のポイントは、後の裏切りがあった場合の損失(目立つ奴はやっかみで殺されたり、1度人を騙した奴の言うことは信用されない等)や脱出後の人生に支障がでる場合があるので、自分からの発案は避け、ちょっとズル賢そうな奴にヒントを与えて誘導すること。






なんという運ゲーと初見殺し。笑