とにかく考えた、事・方法論を書くことにした。

最近は雑記ばかり。サーフィンと読んだ本に関して考えた事などを書いていきます。

非現実、非日常、異世界系作品と主人公の関わり 3パターンの比較検討。

◆はじめに

先日、古野まほろ作品を読んでから、”自分の望む世界を形づくった小説”的なものを知り感銘を受け、自分の願望や妄想と向き合いながら、悶々と創作と空想しているところです。自らの願望を反映した新世界を1から作るとなると、マクロな政治、経済、文化、出来事、ルール・・・。ミクロな個人の社会的地位や友情、愛情とか、決めていく事は多々あるわけですが、まぁあくまで物語としてなので、重大で重要なもの以外は、テキトーでも構わないでしょう。ただ、新世界、異世界モノ、ファンタジーと考えたとき、最初からその世界に生れ落ちて、その世界であくせくするパターンと、転生や移動やらで現実世界の知識や記憶をもってあくせくするパターン、異物が現実に突如出現して非日常開始の3種類があるので、今回はその違いや比較検討を出来ればと思います。





◆転生や移動するパターンの特徴

・主人公を現代人にすることで、その行動や苦難、価値観に読者が共感しやすい。
・今の悪い境遇にいる自分の現実逃避から、異世界ハッピーという自己満足の流れにも共感しやすい。
・現代人としての知識や経験が、文明の遅れた異世界で大活躍という主人公補正を持たせられる。
・世界になれない主人公に誰かが色々説明するかたちで、世界観の説明がしやすい。
・現代、現実世界に戻るという大きな目的が最初から持たされている。
・物語の書き始め、導入が楽。移動という大きな事件、展開から書き出しやすい。
・召還などの場合は、命令や指令があるので、主人公は受身でも展開をすすめられる。



思いついたことをいくつか書いてみたわけだが、”書きやすい”が一番上位に来るメリットや特徴だと思う。主人公に共感できるか(魅力的かどうか)は、物語への没入度がかわる大きな分かれ目だろうし、最初にキャッチーな重大事件として”移動”を描く事で、読者をひきつけやすいだろう。他にも、他人とは異なる○○の力があるという主人公特性も、異世界から来たということにすれば、一人だけ凄い説明もしやすい。



メリットばかり目立つので、デメリットを意識的に考えてみる。
・現実世界とのおりあいを、どうつけるのか。戻る?未練?の問題
 →現実では死んでしまった。未練がなくても問題ない
異世界(自分と関係ない世界)に肩入れする動機付けを描くのが難しい。
 →勇者として召還された。重要な役職のだれそれに見初められた使い魔にさせられた。
・成り上がり(偉くなって国づくり)というワンパターン展開になりやすい。
 →ワンパターン展開にならないようにする。



デメリットは認識して避けようと思えば、避けられるものばかり。これはみんな安易にこの設定を使うわけだ。ただ、致命的な欠点をあげるとするならば、安易すぎるからこそ特徴や際立ったオリジナリテイがないと、山に埋もれて見向きもされない事。あとは、ネガティブな印象がつきやすいことだろうか。人によりけりかもしれないが、死んで別の世界に来た人、未練を持って過ごす人、受身で流されるままに動く人、現実では駄目駄目な人が、異世界では活躍するという作者のご都合主義。このあたりは心象的に悪くうつる場合もあるだろう。




◆その異世界、(非現実世界)で生まれ育ったパターン。

王道SF,王道ファンタジーのパターンですね。


そこはどういう世界なのか
主人公はその世界でどういう活躍をするのか。
主人公が主人公たる能力や動機付け
どこから書くか。展開して動いていくのか。一般人であるはずの主人公を特別にしたものは?(天才として、その世界で最初から特別な主人公というパターンなら、不要)


どういう世界を作るかに加えて、”欠点もあるけどやるときはやる凄い主人公”も1から作るり、さらに、目立っていく展開や、決意する動機付け、高い志と色々練らなければならない。異世界への移動系ならば、流されるままに重要展開に絡めやすいのに・・・。




◆現実世界の主人公のもとに、不思議現象や異物が混入して非日常が始まる。

これも古くからあるパターン。


主人公はその世界でどういう活躍をするのか。
主人公が主人公たる能力や動機付け
不思議現象や異物とは何か?それが主人公や世界をどうかえたのか?



現実世界に足半分おいているため、読者の知る世界と大体同じということで読者は世界に入りやすいだろう。また、今の現実にプラスαする要素さえ決まれば、世界はどう変わるのかという想像もしやすい。宇宙人が来た。未来人が来た。一人一人に超能力が芽生えたなどなど。魔法少女モノやどらえもんやら、実はトクベツなアナタに、お願いがあるという巻き込まれ展開ならば、主人公の動機付けは異世界もの同様に楽だろうし。





◆終わりに

下二つの検討は雑にみえたかもしれないが、下二つは、非現実、異世界モノというジャンルと関係ない、基本的な物語を作る作業となんらかわりはないと見通しがたったので、そこまでふれなかった。どんな世界か?、主人公は?、どういう風に主人公が活躍していくのか? スポーツでも、アクションでも、この基本的事項を考える事には変わりないのだ。



むしろ言い換えるなら、異世界に行くパターン、非日常がはじまるパターンが、物語としてわかりやすく、作りやすい条件や要素をはじめから持っている変則的な創作方法なのだと思う。特に、”主人公が、どう凄いのか。””どうして凄くなるのか”このあたりを簡単に説明できるしそれが受け入れやすいのが、異世界や非日常パターンなのである。



普通であれば、元から凄い奴が、表舞台に出て活躍していくという天才主人公か、(読者からは鼻持ちならない奴に見えるかもしれない危険アリ) 普通だけどあるきっかけや、使い方を変えることで凄くなっていく元は普通主人公のどちらかを選んで、主人公を作っていくだろう。1芸だけは凄いとか、(今まで評価されにくかった項目)優しさや機転が利くだけは凄いとか、元は普通だけど、実はやれば凄いかも?な主人公みたいな亜種はあるにせよ、特別な展開や激動を描くからには、主人公は”特別”でなければならないのだ。



普通の方が共感されるだろうが、主人公の動きが遅かったり、展開やらに激動をもちこみにくい。一方、天才・変人だと、共感や魅了されにくいが、展開やらに激動や快刀乱麻の活躍をバンバンいれられると・・・。結局のところ、冒頭で3パターンの比較検討などといっていたけれど、結局は主人公の作り方、”主人公”というものを理解しないと、3パターンの踏み込んだ話はできなそうだ。