とにかく考えた、事・方法論を書くことにした。

最近は雑記ばかり。サーフィンと読んだ本に関して考えた事などを書いていきます。

密室から犯人当てにつなげる難しさ

密室トリックを考えました。3日間ぐらいは凄いアイディアだと思いながらも、結局、色々と失敗している事に気づきました。それは、密室構築から犯人当てにどうつなげていくかの視点がなかったためです。この点について、少し考えてみます。


◆丸々を所持している人なら作れた密室はバレバレ。

例えばの話、針と糸で鍵をひっぱって施錠しましたという密室殺人の場合、あるいは、ドライアイスの重しをのっけておいて、時間が経てば施錠されるトリックが用いられて密室になったでもいいんですが、密室トリックから犯人を導くためには、誰なら針や糸(ドライアイス)を所持・管理・破棄できたかと、読者にばれないように表現するのがかなり難しい。(もっとシンプルに言えば、誰なら密室を構築できたか?)



針や糸みたいな小さい・日用品を用いたのなら、誰でも隠し持ててしまうしはっきりと、一人だけ針や糸を所持していると情報を提示した時点で、色々とバレバレになってしまう。ドライアイスのようにかさばり・大きく・目立つものなら、隠し持つ事が難しいし、ある人だけ所持していたと書けば、同様にバレバレになる。



この所持系問題の解決策として、美しくない解決法だと私は思うのですが、【それらしい道具を犯人が1つずつ持っていると提示するパターン】があります。一人はメジャー(伸び縮みする奴)を持っていた。二人目は、2mのテグスを持っていた。三人目は、カセットテープを持ってたというような。でも、これだと密室構築は、こういう細長いヒモ状の道具でできると公言してしまうわけで、どうやって構築された密室かのヒントを明示してる時点でよくないと思います。ただ、残念ながらこれ以外には解決策は思いつきませんでした…。








◆密室構築に必要な時間制約からアリバイや立ち位置問題になるのはどうか。

例えばFAXやカセットテープなど特殊な道具や生き物の習性を利用し、”遠隔操作できる”道具を用いて密室を構築した場合に、合宿や旅行で来ていたから、誰もが大荷物に隠せたし、現場に残っていても一見それが密室に使われたとわからないものということで、上記の所持問題からはなれることができる。じゃあ、どうやって密室から犯人につなげられるかというと、



密室構築に必要な下準備にかかるアリバイパターン。
極秘に合鍵が作られて用いられたとする。鍵を盗む事が出来たのはいつで、その時のアリバイがない人物が犯人というケース。、



全く同じ錠前を製造し、すり替えという下準備を行った。この錠前製造にかかる時間や製造元を調べる必要時間などで犯人がわかるというケース。



構築に用いたFAXやカセットテープがちゃんと目論見どおり動作するのか、実験する必要があった。みんなが合宿所にきたの始めてだから、昨日の自由時間に一人だけ具合が悪いと合宿所に残っていた時間に実験できた、おまえが犯人だというケース。




密室構築中にかかる作業のアリバイパターン
あるいは、誰しも明確なアリバイはないが、夜中におきた地震や落雷で全員が目を覚ました。その時犯行現場で密室構築の作業をしていた犯人は気づかなかったから、犯人がわかるというケース。




・密室構築に必要な場所にいた人パターン
”最後に部屋に入ってきた人”が、実は室内に隠れていた犯人だった。
”最後に部屋に入ってきた人”が、鍵を室内においた。
”最初に部屋に入ってきた人”が、まだいきていた被害者を早業の殺人。
屋根の上を利用して密室殺人にした。屋根へ上れる部屋に居る人、外からはしごをかけられた人。



こういったトリックに必要な空間(立ち位置)・時間的(アリバイ)制約にひっかからない人物はだれかというロジックならば、所持問題と比べ密室構築方法の露骨なヒントを出さなくても、密室と犯人を繋げる事ができる。しかし、アリバイ・空間問題として構築すればするほど、密室をどう構築したのかが軽視され、所持問題程でないにせよ、密室トリックが解けなくても、アリバイで犯人がわかってしまうという懸念はある。また、冷静になって考えれば、密室構築が原因で犯人とばれてしまう行動をとる必然性や理由も、できれば考えないといけない。





◆犯人はあらかじめわかっているパターン

その家の住人、隣人、夫や妻などの動機が明確で、家の構造を知り尽くしている犯人候補をあらかじめ明示してしおく。あとはこの人が、どういう方法で密室を構築したのか?そして、その手抜かりや、証拠を指摘し、犯人を自白させるケース。



この方法なら、部屋の中や家の中を調べてそれらしい道具がいくつも見つかる中で、密室構築方法を自由に検討する事が出来る。ただ、犯人当ての面が失われるので、密室構築トリックだけの真っ向勝負がしたい場合に限られてくる。






◆その密室だけでは犯人はわからず、別の殺人(事件)のなかで、犯人がわかるパターン。

連続殺人や事件の渦中で、ひとたび密室(不可能)殺人が行われる。その密室を解いても犯人特定にはつながらないが、1つの密室問題として提示されるというケース。



この方法なら、今まで挙げたすべての問題点を回避できる。というか、密室と犯人をつなげるには??という問題の前提をぶち壊して、密室と犯人をつなげないとしたのだから当然だ。しかし、この問題を解いても犯人特定(事件解決の前進)につながらないという問題に真剣に挑戦できるのかという懸念がある。おそらく読者を選ぶと思う。



ミステリで百点満点をとろうとする人なら、問題ないと思うのだけれど、私はいかに些細な事実から、いかに早い段階で、独自のロジックで犯人特定するべく読もうとするので、事件解決の前進に関係ない事柄は極力無視したいと思ってしまう。



予めこれが犯人特定につながらないボーナス?ゲームと明示したならば、興味のない読者は飛ばし、百点満点の人は全力で挑めるようにwかりやすいかもしれない。ただ、そういうことをしれっと書いても、良いのだろうか……。






◆まとめ

純粋論理問題系のように、些細な事からロジックを積み上げて意外な犯人(事情)を見つけ出すという問題が好きなので、密室においてもどういう”些細な事”から犯人まで導けるロジックが作れないか考えたものの、そういうロジックを積み上げていく方法はどうやら難しいことがわかった。



1番目の所持問題は密室の謎のをみずから暴露しているようなつくりであるから論外。
2番目のアリバイや立ち位置問題へとの変換はまぁいいものの、密室構築の謎へしっかり挑戦させつつ、うまく位置やアリバイに事件解決の視点をもっていけるかハードルがある。
3番目は、”新しい密室”や”密室トリック”大好き人間なら、もってこいの方法だろうけど、別に密室構築の方法を追求していきたい人ではないのでパス。
4番目は、ボーナスゲームみたいな出題の仕方に自分の答がでていないので、様子見。また、連続殺人や連続事件となると、1つの事件がきっかけで次の事件がおきていくような連鎖のパターンを除くと、ストーリーや全体の話の構築の小説的な部分の難易度も上がると思うので、敬遠気味。