とにかく考えた、事・方法論を書くことにした。

最近は雑記ばかり。サーフィンと読んだ本に関して考えた事などを書いていきます。

アホナ名犯人問題について

◆トリックがばれる可能性も考えないの??

考えの発端は、完全犯罪…まぁ、不可能犯罪でも良いのだけれど、トリックが見破られる事で、簡単に犯人が露呈してしまうという脆弱性を抱えた計画的犯行ってどうなの??しょぼくないか??と思ったことにある。


具体的に言えば、殺人事件にアリバイトリックが仕掛けられていたことが露呈 → 逆にアリバイのある人間が犯人と推理され、犯人発覚というようなことである。


計画的犯行であるなら、犯人も入念な計画のチェックを行うはずだろう。一世一代の殺人という大勝負なのだから。ならば、どこでミスしやすいのか。ミスしたらどうなるのか考えないのだろうか。これまで、何人も人が死ぬ緊迫感や、名探偵の華麗な推理で気づきにくかったかもしれないが、犯人発覚は、計画不足や、”うっかりミス”によるものがほとんどだったりして……なんというか、ふとミステリの犯人がちゃちくみえてしまった。



◆論理的に解けることを前提とするトリックが、首を絞める。

痕跡がばればれに残るトリックを利用するアホな犯人。しかし、このしょうもない事態は、ミステリの根幹的ルールゆえの産物であり、仕方なくもある。


ミステリのルール、暗黙の了解として、トリックを解くための情報を、作品内に明示しなければアンフェアや駄作のそしりをうける。当たり前の話だが、解けるように作られているのがミステリということ。もっと単純に言えば、”痕跡を残して”トリックを推理できるようにしなければならない。この根幹的ルールに縛られているので、どんなに明晰な頭脳を持つ犯人であっても、”痕跡を残す”ミスや、”痕跡がばれてしまう”トリックしか使うことが出来ない。


◆娯楽小説であり、犯人あてという性質が、さらに首を絞める。

そして、ミステリが娯楽小説であるために、トリックが犯人特定につながるようなほうが、望ましいということがさらに首を絞めていると思う。


どういうことかというと、例えばどういう風に密室が構成されたのか?と問題提起され、いろいろ痕跡が残っている。さぁ推理開始という時に、密室をとくことが犯人特定に一切関係ないとしたらどうだろう。


トリックを入念に推理する読み方の人もいるだろうけど、やはり、ミステリの醍醐味は犯人を見つけ、犯人だと考える自分なりのロジックを打ちたて、それが当たる事にあると思う。


事件を俯瞰したときに、その事件を解いても犯人特定に至らないとアタリをつけてしまったら、次の事件(犯人特定に必要な情報が出揃う)まで、読み進めればいいやと読者の緊張はそがれ中だるみするだろう。

ラブストーリーで例えた方がわかりやすいかもしれない。ある二人の恋の成り行きをみている途中で、彼が昔付き合った人とのエピソードが挿入される。しかし、二人の行く末とは、最後まで読んでみると一切関係ないエピソードだったら、あれは何だったんだ?イラナクネ?と思う気持ちだ。


◆解決策というか、この問題の解決方法

痕跡を残すアホな名犯人問題とでも、名づけましょうか。さて、この問題を解決する方法はなんなのだろう。基本的に2択だと思う。

犯人はしっかりやったけど、偶然やらのいたしかたないミスで、あるいは、名探偵の類稀なる観察眼で、痕跡が露呈するという展開にして、このアホさを和らげるようにするか。あるいは、この問題から手を引いて全く別のミステリ仕立てにしようと試みるのか


前者は、多少捻りをきかせるパターンもある。例えば、語り手を変え、数年後に事件を再調査している人の視点から惨劇の新しい痕跡が見つかって……犯人推理とか。調査手法の進化や、当事者でない入念な外部調査だからわかったという捻りで、アホさを誤魔化す。あるいは、犯人の予想外の調査手法とか。超能力・心霊・魔法・タイムスリップ等、犯人の理解を超える方法で痕跡を見つけてしまうとか。


後者のこの問題から手を引く〜を少し補足すると、
ハウダーニットに特化する方法がまずある。倒叙小説(犯人はあらかじめわかっている)ものに代表されるように、犯人は明確で、トリックを解くことに商店を持っていくのである。


または、ホワイダーニットに特化する方法もある。順風満帆に見えた一家の謎の集団自殺…どういう動機でこの事件がおきたのかみたいな。動機あて。日常の謎系もここに含まれるとおもう。

◆最後に

また、本格批判?になってしまった気がする。以前、犯人も合理的と論理的思考があるべきだな話から、本格批判?をしましたが、ミステリの構造的欠陥による落とし穴を1つ意識できれば幸い。