『この土の器をも』を読んで 三浦綾子
- 作者: 三浦綾子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1981/08/27
- メディア: 文庫
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道ありきシリーズ第2作。時間軸で分割するなら結婚生活編といえるだろう。ただ、もう余り語ることはない。それは、作中において”三浦綾子”の人生談・人生論になっているからである。自分はキリスト教信仰に関する、教師や知識人の信者としての見解を聞きたかったのだ。もはや作中では、自分の体験とキリスト教の一節を無理矢理結びつけて弁護したり、やっぱりこういう精神が大事なんですよねという個別の人生論的アドバイスしかのっていない。言い換えるなら、三浦綾子の個人の経験や思考とキリストが混ざり合った土着の三浦教を形成しているだけだからだ。
それはそれで、価値ある教えがいくつか含まれてはいるが、それは自分の目的とは異なる。3作目は、さらに流し読みですますことになりそうである。
さらに邪推した感想を書けば、鶏と卵にちかくなるが……自分の思想を強固なモノにする根拠や証拠のようなものとして聖書やキリスト教を使っていたようにさえ思えてしまう。本を読んでこんな事を知りました。ではなく、私はこう人間は生きるべきだと考えていて、この本(聖書)でもそう書いてあるでしょ?
そういうあざとさのような感覚まで抱いてしまった。