とにかく考えた、事・方法論を書くことにした。

最近は雑記ばかり。サーフィンと読んだ本に関して考えた事などを書いていきます。

扉の外 ネタバレ感想というか解説というか酷評。

与えられたルールの中で勝つために頭脳船を繰り広げる。そんな作品を探す中で、扉の外を知ったので読んでみた。全3巻で完結。どちらかというと裏切りや頭脳船ではなく、コミュニティ(共同体)とルール(規律)とその中での人間性とかがメインであり、ゲームの駆け引きや展開による驚きはあまりない。各巻により上記テーマの意味合いが若干異なる。各巻にこめられただろうテーマを一言でまとめたものを脇に書いた。以下では各巻のテーマを解説していく。



扉の外 (電撃文庫)

扉の外 (電撃文庫)

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

扉の外〈3〉 (電撃文庫)

扉の外〈3〉 (電撃文庫)




■扉の外Ⅰ 痛い中二病によってはぶられた孤独感。

まずはあらすじを簡単に。クラス全員が修学旅行に行く途中に意識を失い、眼を覚ますとシェルター(教室よりは広い1部屋)に閉じ込めらていれた。全員が起きたところでモニターが起動し、ソフィアとなのる人工知能が、身に付けた腕輪をはずさなければ、12時間ごとに食料や水が手に入る権利を得るという話をした。状況が飲み込めないまま12時間経つと・・・言われたとおり、食料等の生活必需品が手に入った、しかし、食料以外にも、そのモニターで操作できるコマンドがあり・・・なにやらゲームのような内容が説明される。
一方、腕輪をはずした場合は権利を失い、自由にこの部屋から外に出られるようになるが、どうなってもしらないと脅されるのだった。




以下ネタバレを含めた主人公の痛い行動の経緯。
第1巻の主人公は痛すぎる。その痛さゆえに途中で読むのが辛くなるほどである。
・全体をまとめようとする委員長に、こういう場はおまえが仕切ると思ったと嫌味を言い、委員長に従うクラスメイトを、他人に従うしか能がないと悪態をつく。
・自由がいい。誰かに管理されるのは嫌という理由で腕輪をはずす。
・しかし部屋にはとどまり、腕輪がなくても利用できる部屋の設備を利用して白い眼でみられる。。
・見かねた委員長が物品を分け与えようとすると、施しは上下関係だから嫌だと拒否。
・そんな経緯でクラスメイトからはぶられるも、俺を敵にすることでお前らは一体感をえていると自己弁護?責任転嫁?合理化(イソップ的な心理でいう)?
・結局耐え切れずに扉の外に出る。
・他のクラスのシェルターに偶然入れてもらい、なぜかここでは施しを受け入れ、その場に馴染もうと協力的に意見・情報交換をする。
・なんやかんやで、このクラスからもはぶられる。 続く。



○ ・   ○=コミュニテイィ ・=主人公
上記の図式が1巻のテーマを最もよくあらわしている。1巻では、主人公の孤独感の描写と対比されるように、何かに属したりまとまっていく周囲のコミュニティが描かれている。孤独感といえば聞こえはいいが、コミュニティと乖離したのは主人公の中二病のせいで間違いない。巻末の主人公のまとめてきな台詞も痛すぎる。次は意訳。
集団ができあがると、集団の様々な圧力により個人の行動が影響を受ける。集団からはなれ、その社会性をなくした先に、本当の自分を・・・自分自身の存在を実感できたんだー。



例えば、誰かと会話する程度だって、相手の言葉を受けて自分も言葉を返す以上、そこに相互作用があるわけでお互いが影響しあってると思う。それに、りんごがあってりんごとは違う果物・・・オレンジという存在があると区別できるように、他人があるから自己を意識できるのであって、もとから他人とまったく関係なかったら、その対概念として存在する自己という概念も認識できないと思う。だから他人と関わらない自分=本当の自分という考えはそもそもがおかしな話だと思う。まぁ、本当の自分(俺)って何だろう・・・って中学生のときぐらいにはよく考えましたけどね。




■扉の外Ⅱ 人より得しようと上に立つ亡者と、下にやられる愚者。

2巻は1巻と同じ舞台ながら、違うゲームを題材にしている。ゲームのルールはじゃんけんと大差なくゲームの駆け引きよりも、下であげるテーマを表現するための伏線が多い。




○   ○=他人より得しようとする人。上に立とうとする人。
・   ・=下に追いやられる人。
腕輪をしているものには食料や水を得る権利がある。これは権利(交換用のカード)として与えられているため、他人から奪おうと思えば奪えた。(暴力的な行為は禁止されている)そのあたりですったもんだがあり、2巻では他人を騙して得をしようとする上下関係のコミニテイィの概念が取り上げられた。端的に言えばヒエラルキーである。
当初は皆で平等に食料などを分け合おうとするもまとまらず、結果的には異質なものは反発し、同質なものでまとまるんだ・・・という話で終わっている。本作では、腕輪をつけている人とつけていない人で分けられることになった。



なお、ヒエラルキーがなぜ生まれるのか知りたい人は、狩猟生活から農耕生活への移行とそれに伴う社会の形成等の、歴史的な学問で諸説でてくるはず。あるいは社会学的な観点で考える場合は、○○コミニxティ論とか、コミュニケーション論とかでも関連する話は出てくると思う。



■扉の外Ⅲ 議論と言いつつ、全部自分の思い通りになるよう決めた我侭姫。

3巻も、1・2巻と同じ舞台ながら、違うゲームを題材にしている。ゲームのルールはすこし複雑かと思いきや、駆け引きはなくテーマを表現する道具として用いられている。



3巻の主人公も結構痛い。基本的に人を信用しないくせに、自分が予測したプラン通りに他人は動くと簡単に思い込む。たちが悪いのは、
・議論をしようと形だけのたまい、本心は大きな力を得るために周囲を巻き込みたいだけ
・反省をせずに、失敗に関しては全員が決めたことだったと責任転嫁するか、あの時はあぁするしかなかったと責任転嫁する。


本人はうまく集団の中で立ち回れていたと最後まで思っていたが、真実は周りを振り回し誤った方向へ誘導し、周囲にも嫌な感情を抱かせていたということ。



■終わりに まとめ?

眠いので、最後は早足で申し訳ない。本作で用意されたゲームは単純であり、あくまで人間を極限状態に追い込むだけの舞台設定の1つにすぎず、作者が書きたかったのは集団と人間という所なので、頭脳戦を期待する方は読まないほうが吉。
後は個人的な、ざっくりした感想として以下3点


・風景描写が雑すぎる。
扉の外にでたとき等の表現が稚拙でうまく頭に絵が浮かんでこなかった。そこがどういう場所なのかのイメージがわきずらい。特に2巻の舞台は未だによくイメージがつかめていない。(勿論、何が起きたのかは分かるのだけど・・・)



・人間が動かされている感が強い
上のようなテーマにこだわりすぎているのか、話の展開がその方向に露骨過ぎる。主人公の性格もそういう露骨さがあり、その主人公にそういう行動を起こさせる周囲の行動も露骨過ぎる。


・エロをだしてもいいんじゃないか・・・
ライトノベルだったからだと思うけど、男は性欲がなくなるような薬品か刺激を受けさせられているみたいな設定を作って、女を絶対に18禁的な襲い方をしないのがなんか白々しい。行為の直接的な描写をしないだけで、無残な結果はラノベでも書いていいんじゃないかなぁ・・・。これは全然知らないで言ってます。すいません。