『観用少女 ープランツドールー』 を読んで
【女のために人生を棒に振る男達の話である。】
- 作者: 川原由美子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/08/07
- メディア: コミック
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男の生きる目的が、女にかたよりすぎていた時代を反映しているだけなのか。それを皮肉っているのかまではわからない。観用少女とは、ただミルクと砂糖を食べるだけで喋らない観用植物のような少女人形である。つまり、見て楽しむ存在ということだ。本編では、文字通りそういう存在の特別な人形があるという風に話が始まる。
登場する主人公は様々だが、その傾向はシンプルである。人生の挫折などから生きる意味を無くしているところに、観用少女に出会い、一目惚れし、家で待つ彼女の笑顔から活力をもらい、人生(主に仕事)に精を出す。ただいくつかその傾向を外れ、観用少女という存在を説明するような話と、観用少女を嫉妬の対象にして、現実の女性との恋仲を描く話もある。
一番感じたことは、女性のために頑張る主人公の姿があさましい。である。少女は高額で、すさまじい出費だ。しかし、彼女がかえすのは笑顔のみ。それでも満足する男たち。ここまで極端に女の尻を追いかけても報われないというような話を見せられると、女性を求める心がよりいっそう減退する。オタク文化は、生きる目的が女性に好かれることにすり替わった時代背景にあるとという本の中で紹介されているとおり、自分も同様の印象を受けた。