カフカ 『変身』をよんで 変身は介護の話です。
カフカの変身は知っていると思う。朝起きたら、自分が芋虫になっていた・・・という話。今日はそれを読んでの感想文を書く。結末まで、知っている人はいないと思う。なのであらすじを書くと、変身して、人間としての生活を送れなくなって、徐々に人間らしさも失っていく主人公。”彼でなくそれ”と共に暮らす家族の苦悩の生活…という話。
- 作者: フランツ・カフカ,Franz Kafka,高橋義孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1952/07/28
- メディア: 文庫
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■変身は介護について書かれた話では??
カフカの変身は、介護について書かれたものだと自分は思う。或る朝突然に、劇的な肉体の変化が起きる。頭(心)はまだ以前のままだが、身体が追いつかず今まで通りの生活は出来ない。最初は、その”心の変わらぬ”彼の世話を家族はするが、身体の変化に合わせて、徐々に彼の頭(心)も以前とは変わってきて・・・家族はうんざりしてくる。そして最後は、肉体でも心でも、苦労をさせられる存在になり疎外される。
こういった展開が家庭内で徐々にぼけていく、身体が不自由になっていく老人の介護の現場にぴたりと繋がるように感じた。作中では、その介護の様子を芋虫側、つまり介護される側の視点で描いている。
・扉越しに聞く自分の取り扱いの話題。
・食欲が無くて食事をしないと、何を作っても食べやしない、とぞんざいに扱われるなど。
その具体例の描写には、驚くばかりである。それはまさに、介護で起こることそのものだからだ。……実を言えば、自分の実体験、祖父の話とかなり重なるところがあるからそう感じる。
介護について書かれてる本は多い。自己啓発のような本や、具体的な介護の方法論についての本や、介護経験者の日記などある。ただ、本当に介護を考える上で必要なのは、介護される側の考え方・捉え方の理解だと思う。だから、介護について考えるときは、そういう介護のハウツー本を読む前に、カフカ 変身を読んでみて欲しい。